目次から一目瞭然、正統派の投資本です
【ひざポン】
PP 060
・そういう人(注:自称草食投資家のこと)ほど「株式市場は、長期で見れば右肩上がりだ。だからインデックスだけを買っておけばよい」という都市伝説を鵜呑みにします。でも忘れてはならないのは、一生懸命頭をひねってこのキャッチフレーズを捏造したのは、他でもない私を含めた団塊世代の証券マンだということです。
・思うに「株式は、長期で持てば必ずもうかる」とか「アクティブ運用は、インデックスに勝てない」などのキャッチフレーズは、「ダイヤモンドは永遠に」とか「婚約指輪は月給の3か月分から」などのキャンペーンに匹敵する、マーケティング上の快挙だったのではないでしょうか?
・しょせん大衆は怠け者、すぐ「自分は仕事で忙しいから、手間をかけなくても着実に儲かる方法はないか?」という甘い発想をします。そこで「株は、長期で持てば必ず儲かる。だからインデックスファンドを買っておけば良い」というまことしやかな理論が急遽擁立され、「投機はダメだ、投資は良い」という、およそ投資理論で全く裏付けることのできない宣伝文句に踊らされるカタチで、大衆はどんどん株式市場に参戦したのです。その結果が、こうです。
(グーグルファイナンスからの引用)
(mizunonamboku注:1990年初から暴落し、戻りに34年もかかった)
ポイント1-26
・ろくに実社会でのビジネス経験もないくせに、バリュー投資が極められると思うのは錯覚にすぎない
図表26(「証券分析」(security analysis)より、1934年、バフェット氏の師匠であるグレアム氏とドッド氏の共著)
・担保差し押さえ等の権利行使に際しては、実際には理論と違って不都合なことがたくさん起こる
・「安全の糊代」を十分にとることだけが、分析に交じりこむ数々の不確実性に対する予防方法である
pp95
・「成功する投資家は分散などしない。一点集中投資で勝負だ!」という議論をする人がいます。ネットで見ると、そういう集中投資の成功者の話が出てくるときがありますが、それは単純に失敗者の話は取り上げられないからにすぎません。一点集中投資の陰に、無数の失敗者が存在するのです。
・サバイバルした人の数を数えるのは簡単だけど、失敗者の数を正確な統計にするのは困難(注:日本における年間の破産件数7万件台のうちの1.5%程度が投資の失敗を原因とするものであり、つまりは投資による破産は年間1000件程度と見積もられます ー しかし、親族援助でしりぬぐいしてもらって破産手続きを回避するケースや、残念ながら人生そのものを回避するケースは膨大ですから、投資の失敗による経済破綻の全体像を正確につかむことはできません 自己破産件数の推移|年代別の破産者の割合と破産理由を解説 )
pp164 インデックス投資の弱点
・インデックス投資の弱点は「マーケットは長期では右肩上がりである」ことを前提としている点です。もちろん、マーケットは長期では右肩上がりだろうということは私も大筋では同意します。しかし、チャールズ・エリスやジョン・ボーグルなどがインデックス投資を提唱した時代は、マーケットにとってとりわけ幸運な時代であったことを忘れてはならないと思います。
【読後感】
勉強になりました
自分が何となくやっていたことを、言語化することができるようになりました
ジェンダー的に不愉快になる可能性もあるフレーズも随所にあるので、そういうのを絶対に目にしたくない人は避けたほうが良いです ーつまらないポリコレ論争に巻き込まれたら、広瀬さんがお気の毒です
(参考資料)
One Chart – 120 Years of the Dow Jones Industrial Average – Apollo Wealth Management LTD
トリッチ・サイクル
私の加工
「証券分析」原文