【臭い・・・】
往路で上海で上陸し、一行はアストロ・ハウスというホテルに宿泊
その翌日、一行は再び乗船
船の食堂で食事中、副使の河津伊豆守が
「この食堂は臭い」
と、しきりに言う
もっとも、ひぃずちゃんの「航海日誌」によれば、今度は前回の軍艦とは打って変わって、フランスの郵船
乗り心地もよく、食事もよく、風呂の水も使い放題、まるで天と地の違いでした
したがって、今度の船では食堂は清潔で、臭いはずがない
それでも、河津は、フォークを口にもっていくと、あまりにも臭くて気持ち悪くなる
余りにも臭いので、どうしても食べ物を口に入れられず、フォークを下す
そんなことを繰り返していました
なぜこんなことになるのかと、河津は通訳の塩田三郎を呼び検討するが、皆目わからない
ふと塩田が気づき、 ちょっとお手を拝借と、河津の手の匂いを嗅ぐ
塩田「お前様、どこかで手を洗われましたか」
河津「先刻、ホテルで便所に行ったときに手を洗おうと思ったが、水がないので探していると、棚の上に水の入った壺があったので、それで洗いました」
塩田「・・・いや大変です、それは小便器です・・・」
・・・(ー_ー)!!
日本人は昔から清潔好きで、用を足した後には手を洗う習慣があり、厠の隣には必ず手を洗う場所(手水場、ちょうずば)がありました
しかし、当時の欧米諸国には、そのような習慣はありません
それどころか、尿を壺に貯めていたという・・・
青木梅蔵が、この船旅を
「難儀なること地獄の責も是には過じと思いたり」
=地獄の方がマシ
と記したのも、納得です
ちなみに、岩松太郎は河津家からの派遣なので、主君の恥になるこのトピックには触れていません(;^_^A